profile(現史)

池田るき前史

「お前になにができるの?」仕事を再開したいと告げた時、夫に言われた。一瞬、気持ちがぐらついた。

リクルートを辞めてから、21年経っていた。浦島太郎もはなはだしい。エクセルもワードもできないくせに。じゃあ私にしかできないことって何だろう?その頃、知り合いの社長さんから、「新しいビジネスを立ち上げるんだけれど、分かりにくいから漫画にしてくれない?」と依頼された。リクルート時代に、中小企業から大企業までたくさん取材をして求人広告に落とし込んできた。取材ができて、漫画が描ける。両方できる漫画家はまれだ。漫画で営業ツールを作る仕事を始めることにした。

池田るき写真 「子育てが一段落したから小遣い稼ぎにきたの?」営業先で、はっきり言われた。考えてみればその通りなので、甘くみられたらクオリティでかえせばいいと思った。ビジネスの世界では「漫画家がのこのこ何しにきたの?」と思われて当然だ。この業界で私が役に立つことをわかってもらうことからはじめた。リクエストに応えて漫画パンフレットや、漫画名刺をつくるうちに、自分の仕事のパッケージができた。漫画家を抱える広告会社に営業に行ったときに、原稿料がものすごく安いのに驚いた。誰かに営業してもらって受身でいると買い叩かれる。クリエイターは基本的にひとが好く、好きなことでお金をもらえるだけで満足してしまう。このままじゃ業界全体が廃れてしまう。しかもクリエイター自身が自覚なく共犯して値崩れを起こしている。

ビジネス感覚のあるクリエイターを育てる塾をつくろう。ビジネス寄りの週末クリエイターや、ビジネススキルを身につけたいクリエイターが、スキルを補完しあえる場所。自分で営業すれば、自分の値段は自分で決められる。絵が描けるということは、イメージを可視化できるスキルなのに、もったいない。クリエイターは欲がない、ビジネススキルがない、というイメージをくつがえしたい。私みたいな人を増やして、みんなで潤えばいいんじゃないか?そのためにはまず、私が売れないと説得力に欠ける。共感してくれたコンサルタントがついてくれて、私の仕事の案件や工程をすべてデータ化してくれた。案件を一覧表にして、ペース配分する。売上目標を意識して、営業をかけていく。塾をつくる、後進を育てる、という目標があるから、がんばれる。
池田るき 女史へ ▶